ヒマの過ごし方帖。

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Chara+YUKI「楽しい蹴伸び」 ― T君と「カードヒーロー」。【2月前半に聴いた音楽】

【2月前半に聴いた音楽】

Chara+YUKI「楽しい蹴伸び」

 ネットニュースで知ったけど、Chara+YUKIが最後に共演したのは1999年らしい。

1999年といえば、音楽への興味はまだ沸いていない小学校の高学年。「チャラユキ」という単語もよくわからなかったかもしれない。門限を気にしながら友達の家でゲームばかりしていた頃。

 

その中でもよく入り浸っていたのが5年生で初めて同じクラスになったT君の家。T君はクラスの誰よりもゲームに詳しかった。今思えば、コロコロコミックがゲームの情報の全てだった自分のアンテナの小ささもあるだろうし、T君はそれなりにゲーム誌なんかを読んでいたのかもしれない。だとしてもT君が仕入れてくる情報は刺激的でひと味違った。思い返せばちょっと信仰の気もあったかもしれない。それくらい彼のやっていたゲームはどれも魅力的に見えたし、たちまち欲しくなる。

 

ゲームボーイカラーに「トレード&バトル カードヒーロー」という隠れた名作ソフトがある。一度発売中止になりかけたところをファミ通編集部が猛プッシュして発売に至ったという少し変わった経緯を持つ(結果的にそんなに売れなかったらしい)。もちろんT君に教えてもらった。当時、コロコロのゲームのページにカードヒーローの情報は載っていたのかな?あったとしても読み飛ばしてしまう程度には小さい扱いだったと思う。なのでT君に教えてもらうまではタイトルすら聞いたことないし、おもちゃ屋に行った時も認識していなかったかもしれない。

 

世の中的にはポケモンがすっかり定着していたし、「ポケットモンスター金・銀」の発売があったり、ポケモンカードも飛ぶように売れていた。ジャンプを通ってこなかったので縁がなかったが、遊戯王カードもその頃が黎明期。モンスターを育てて戦わせるシステムのゲームが当たり前のように作られ、それを元に作ったようなカードゲームも沢山売っていたし、さらには「ポケモンカードGB」のような"カードゲームのゲーム"もとにかく種類があった。その中で、何のシリーズ実績もないカードヒーローを選ぶT君の英雄っぷりは眩しかった。で、買ってプレイするとめちゃくちゃ面白いからT君への信頼と信仰が増すんだよね。それの連続だった。

 

子供の頃のゲームソフト選びって命がけじゃないですか。玄関で靴履くまではポケモンは『金』って決めてたのに、ダイエーに着いたら「『銀』もまた然り・・・」みたいな。どっち選んでも面白いポケモンでさえそれくらい悩むのに、何も考えずに親にゲームショップに連れてってもら頭抱えてたもん。似たようなソフトがぎっしり並ぶ中で、その半年~1年ぐらいの自分の娯楽を左右するの辛かった。ソフトを買ってもらえるワクワクを通り越して辛かった気がする。「RPGツクール4」も「ベイブレード ファイティングトーナメント」もT君が教えてくれなければ絶対手に取っていない。ちなみにベイブレードのヤツは、自分の誕生日に入院中の祖父にわざわざ病室を尋ねて、体調的にも結構ヤバい中、財布を出すために立たせてお金だけもらって買ったいうクソ罰当たりソフト。子供の時とはいえ、今でもたまにシャワー中などにフラッシュバックする級に後悔してます。自分の走馬灯を作れるとしたらどうやっても落とせないできない大懺悔カット。じいちゃんごめん。

 

話を戻して。突如、開発中止となったニンテンドー64カービィのエアライド」をずっと心待ちにしていたのもクラスではT君だけだった。「あれが出るまでは死ねん」と常々とこぼしていた。のちにゲームキューブで発売されたが、無事にプレイできているだろうか?T君とは小学校を卒業してからは緩やかに疎遠になってしまったのでそれはわからない。同じ中学校に進んではいたが、特にケンカがあったわけでもなく、お互いが身を引くような感じでスッと。

 

チャラユキ「楽しい蹴伸び」の歌詞には【エゴサ】という単語が出てくる。生活感を与えない2人らしからぬ言葉選びだと思う(作詞はYUKI)。【ググる】が最早やや死語気味で【エゴサ】が何の違和感もなく会話に出てくる今、ゲームを"探す"ことに長けていたT君を久々に思い出した。

 

 

【これも聴いた】

▼CAVE(壁)「イエロー・ドラマティック」 (※「ドラマティック!」収録)

四季が歌われるポップスが好き。季節のどれかを歌うでもいいけど、四季全部だともっと好き。初めて知ったバンドだけど、ボーカルの声がめちゃくちゃ好み。 

 

▼リーガルリリー「1997」 (※「bedtime story」収録)

西暦4ケタがタイトルになってる曲には名作が多い。andymori1984」、冨田悠斗feat.初音ミク「1925」、コーネリアス「1969」、集団行動「1999」、チャイコフスキーの「1812年」も好き。ゴリゴリのベースから始まるのがまたいいですね。

 

▼mirage²「咲いて²」

そろそろファントミも終わりか・・・と思いながらだと急に切なく聞こえる。「世界に一つだけの花」以降、花が"個性の例え"のテッパンになってしまったような気がする。この曲みたいに、笑顔とか明るさを振りまくモノ、という使われ方が鑑賞物としての花の本来の役割のような気がして聞いててホッとする。