ヒマの過ごし方帖。

ヒマの過ごし方帖。

人の数だけヒマはあるのだ。

DISH//「Sauna Song」 ― 大人になってできたこと、できなくなったこと。【2月後半に聴いた音楽】

【2月後半に聴いた音楽】

DISH//「Sauna Song」(※「CIRCLE」収録)

 

サウナブーム、すごいね。ブームというか、"おじさんのオアシス"的なもので昔から衰えてる感じはしないし、特に若い人や女性が利用しやすくなってるってことなのかな。感染だなんだって混沌としているこんな状況でも営業してるもんだろうか、なーんて思って調べたらバッチリ対策を取ってやってるところもある。

実家の近くにスーパー銭湯があって、子供の頃によく連れて行ってもらっていた。そこには何種類かの風呂とサウナがあった。父親がサウナに入りたがるんだけど、さすがに年端も行かぬ1ケタ年齢の子供を入れるわけにはいかず、外で待たされた。『わたくし誘拐されておりません!』的なアピールとして、ガラスの向こうにいる父親がメガネを外していてもまあまあ見えるくらいの距離の風呂で泳いだりしてた。今のご時世だとガラス一枚しか隔ててないとはいえ、銭湯で子供一人で遊ばすのはちょっと不安かもしれない。

 

サウナルームから顔を真っ赤にしながら出てきて水風呂へと向かう父親を見てもあまり気持ちが良いことをしているようには思えなかった。熱い地獄に行って、冷たい地獄に寄り道するような苦行にさえ見えた。映画「ドラゴンボールZ 復活のフュージョン!!悟空とベジータ」の劇中で、"あの世"にある地獄が登場する。針の山地獄、血の池地獄など、当時発売されていた映画のガイドブックに地獄の全体図を描いたスケッチが載っている。不気味なタッチの数々の地獄に子供ながら怯え、窓ガラスの向こうでおじさんたちを熱さで苦しめるサウナに"あの世"の地獄が重なった。自分が"あの世"に行くにはまだまだ早すぎると感じた。

 

体力的にも年齢的にもサウナに入ることが出来る。でも、大人になってサウナに入ったことはない。大人になってできることが多くなった。どの時間でもポテチが食べられるし、女の子と堂々と話せるし、知らない街を歩ける。それでもサウナには行っていない。大人になってできなくなったことはなんだろう。「言いたいことを言う」。「感動」。「仲直り」。大人になってできることは増えたはずなのに、一つ一つのものごとに対する満足感は薄くなってきている気がする。年々、風船は大きくなってるのにどこか、見えないくらい小さな穴から空気が漏れているような。

 

この曲のサビは【サウナに入るのがおすすめ】と始まり、【日々で散らかっちまった君をリセットする】と締まる。それが本当なら、ちょっと今度サウナに行ってみようと思う。何かが満たされるのなら。

 

 

【これも聴いた2月後半】

▼KAN「ポップミュージック」

ポップミュージックでどんだけ稼いでるんだってぐらいの"ポップミュージックのプロ"が「最初に聞いとくけどポップってどんな意味?」と問いかけてくるのだから僕にだって分からない。直後にリリースが決まっているJuice=Juiceのカバーも◎。

 

▼aiko「青空」

文字通りタイトルの爽やかさ&シンセやギターのシティポップ的な気持ち良さに騙されそうになるけど、めちゃくちゃ不倫(未遂?)の歌、ってのがギャップですごくいいです。

 

▼Hello Youth「Harry Party」(※「Smile Rush!」収録)

福岡のアイドルグループ。去年博多どんたくで見た。ギターロック楽曲が多い「Jump Up!」と、打ち込みやR&Bに特化した「Smile Rush!」が同時発売。後者のがこういう曲が多くて好みでした。