ヒマの過ごし方帖。

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人の数だけヒマはあるのだ。

さなり「Hero」 ― 自分の文章を初めて褒めてくれた人。【6月前半に聴いた音楽】

【6月前半に聴いた音楽】

さなり「Hero」

高校2年生の時の担任はアラサーの女性で国語の先生だった。先生なりの硬さはそれなりにあるものの、歳が近いせいかクラスのみんなとフランクに接していた。自分は先生と仲が良くなるタイプではなかったけど、学生生活を振り返ってもこの先生とは割とコミュニケーションを取った方だと思う。テレビは日頃そんなに観ないが「Matthew's Best Hit TV」が毎週の楽しみらしく、テレビっ子だった自分はなんとなく親近感を抱いていた。

 

ある日、教室で読書をしていたら顔を覗き込んで「何読んでるの?」と話しかけられた。読書が趣味だという先生だったので気になっていたのだと思う。読んでいたのはさだまさし解夏」の文庫。ちょうど映画が公開された時期だった。「読み終わったら貸してよ」と言われた。物を貸し借りするなんて友達としか経験がなかったので戸惑ったけど、特に断る理由もなかったのでその何日か後に貸した。貸した時に「帯は売る時に価値が上がるからキレイに取っておきなさい」と帯だけ突き返された。

 

その先生から、放課後に職員室に呼び出しをくらったこともある。思い当たる節(携帯を授業中に開いたのがバレたとか、学ランの内ポケットに忍ばせたMDを授業中に聞いてたとか)がいくつかあったのでドキドキしながら向かったら、プリントを突き出された。自分の書いた作文だった。これが何かの作文コンクール用に何かしらの作文を書いた時に・・・とか、ゴミみたいな思い出し方しかできないんだけど、とにかく職員室に呼ばれた理由はその作文についての感想だった。

「私は国語の先生で・・・国語の先生的な評価はあんまりって感じだけど、私はこの文章面白いと思う。」

小学校の頃から読書感想文や社会科見学の感想文など、長文が苦手だった。親にもそんなこと言われたことなかったし、何より読書が好きな国語の先生から褒められたってのが喰らった。その後日の三者面談の時も「彼は面白い文章を書くんですよ、ね?」と母親の前で言われてすごく恥ずかしかった。嬉しかったけど。

 

大学受験をする時に「内申書」(学校によっては「調査書」?)という、高校生活がどんな素行だったかが記された書類を提出しなければならなくて、浪人した自分はいくつも受験する必要があったので、その内申書をいっぱい貰っていた。(※内申書は有料。1枚100円くらいだった記憶。)

内申書は必ず封をしたまま大学に送付しなければならない決まりで、普通は受ける学校の分しか貰わないのでほとんどの人はその中身を見ずに死んでいくのだけど、なぜか1枚だけ余ってしまったので合格が決まった時に開いて読んでみた。

生年月日・入学年などの基本的なプロフィール。出席日数や3年間の成績などのデータ。その下に各学年の特記事項みたいなものがあり、「○○な性格で××という考え方が出来るがたまに△△な行動がみられた」という、学校生活における担任の評価欄があった。2年時の欄に文章のことが書いてあり、それにも大変感動した。

 

あの一言と内申書がなかったら、たぶん今のような職業はやってないんじゃないかと思う。これぐらいのエピソードしかないので、卒業してからは当然疎遠。先生は今なにやってるんだろう?って時々フルネームでググるようなキモいこともしてみるんだけど、特に何も引っかからず。高校の友達ともとっくに疎遠なので情報はほとんどない。地元に対して希薄な自分が数少ない「元気にしてるかな?」って考えることがたまにある人のひとりで、ヒーローです。

 

さなり「HERO」はそういう「仰げば尊し」的な恩師に感謝を伝える歌。違います。なんかのインタビューで「学校に行く時間を音楽に使っていた」と話していて、また自分と違った青春でうらやましいなと思う。

 

【他にも聴いた】

▼超特急「Stand up」

とてもいいマイクリレー。DISH///といい原因は自分にある。といい、EBiDANは本当に楽曲に恵まれてますね。

▼開歌-かいか-「ポプラ」(※「花歌-はなうた-」収録)

あああこれだけハーモニーがキレイだけど、しっとりと歌い上げる感じではないのがいいじゃないですか。だってサビでピョンピョン飛び跳ねるんですよ?

▼平川地一丁目「砂の箱舟」(※「時のグラデーション」収録)

何年か前に気になって調べた時に確かお兄ちゃんは普通に就職したような話が出ていて、さすがにもう再結成はないかーと思っていただけにビックリ。苦み走った彼らの曲が本当に好き。